
皇帝の命と下級官吏という構図
まず物語そのものが面白い。皇帝から無理難題を受ける下級官吏という設定は、どこかの会社でもありそうな構図だ。巨大な組織の中で、下の立場の人間が理不尽な任務を上から押し付けられ、本人の意思とは関係なく動かされていく。その感じが、神々の遊びに付き添わされているようにも見える。
長安の仏殿と視点の置き方
背景表現も強く印象に残る。長安の仏殿では、大仏の視点から見た建築構造や、大仏内部の空間が描かれ、大仏の目から人の動きが見えるカットがある。空間の捉え方がはっきりしていて、カメラワークも含めて画としてかなり良い。
嶺南への道中と古典的モチーフ
嶺南へ向かう道中では、虎や山賊に追われる風景が出てくる。三国志や水滸伝でお馴染みの世界観を思わせる場面で、移動の時間そのものが物語として描かれている。
嶺南の色彩と南国表現
嶺南に到着すると、雰囲気が一気に変わり、南国的な色彩が前面に出てくる。象や孔雀といった南国の動物も登場し、オリエンタルな映像が続く。このあたりは特に好みの映像が多かった。嶺南という土地が広東省にあたることも、この作品を通して意識させられた。
登場人物と時間の痕跡
嶺南のボス役として林雪が出てくるのも印象的だった。林雪を観るのは久しぶりで、ジョニー・トー作品以来かもしれない。
主人公の外見の変化も気になった点で、物語が進むにつれて白髪が増え、髪や髭が伸び、お団子ヘアのような状態になっていく。その姿に親近感を覚えたのは、私自身が長髪で白髪混じり、同じくお団子ヘアをしているからだ。
エンドロールと絵巻表現
エンドロールでは、物語全体が一枚の絵としてまとめられている。その見せ方が中国の絵巻を思わせるもので、ストーリーを俯瞰する一枚として機能していた点がよかった。




